リングスリーブが覚えにくいのは、暗記すべき対象が「スリーブのサイズ」と「圧着マーク(刻印)」の2つあり、しかもこの2つが一致しないケースがあるためです。組み合わせを丸暗記すると10通り以上になりますが、断面積への置き換えと2つの例外だけを押さえれば、覚える量は大幅に減ります。本記事では、その手順を3ステップに分けて整理します。
混乱の原因は「サイズ」と「刻印」が別物であること
リングスリーブの問題でつまずく最大の理由は、スリーブのサイズ(小・中・大)と、圧着工具で刻む圧着マーク(○・小・中・大)が同じ名前なのに一致しない場合があることです。
具体例
1.6mm×2本を接続する場合、使うスリーブは「小」ですが、刻む圧着マークは「○(まる)」です。 「小スリーブだから刻印も小」と考えると、この1パターンだけ確実に外します。
したがって覚える順序は、①スリーブのサイズを決める → ②そのうえで刻印を決める、の2段階になります。ここを分けずに一度に覚えようとすると、組み合わせが爆発します。
ステップ1:電線を断面積に置き換える
本数の組み合わせをそのまま覚えるのではなく、まず断面積の合計に変換します。覚える数字は2つだけです。
| 電線の太さ | 断面積の換算値 |
|---|---|
| 1.6mm 単線 | 2mm² |
| 2.0mm 単線 | 3.5mm² |
たとえば「1.6mm×2本 + 2.0mm×1本」なら、2 + 2 + 3.5 = 7.5mm² です。混在パターンもこの足し算だけで扱えるようになります。
ステップ2:2つの境界で区切る
合計した断面積を、次の境界で判定します。覚える境界も2つだけです。
合計 8mm² 以下 → 小スリーブ
例:1.6mm×3本(6)、1.6mm×4本(8)、2.0mm×2本(7)
合計 8mm² 超 〜 14mm² 以下 → 中スリーブ
例:1.6mm×5本(10)、2.0mm×3本(10.5)、2.0mm×4本(14)
この2つを超えるものが大スリーブです。ただし大の判定には後述の例外があります。
ステップ3:例外を2つだけ覚える
ここまでの手順で大半は判定できます。残るのは例外2つで、いずれも試験で狙われる箇所です。
例外①:1.6mm×2本だけ、刻印が「○」
スリーブのサイズは「小」ですが、圧着マークは「○(まる)」を刻みます。 小スリーブを使うその他の組み合わせ(1.6mm×3〜4本、2.0mm×2本、混在など)は、すべて刻印「小」です。小スリーブのうち、○になるのはこの1パターンだけと覚えると整理できます。
例外②:1.6mm×7本は、断面積14mm²でも「大」
ステップ2の境界では「14mm²以下は中」でしたが、1.6mm×7本(合計14mm²)は大スリーブです。同じ14mm²でも2.0mm×4本は中スリーブになります。
リングスリーブの適用は本来、断面積の合計ではなく電線の組み合わせ表で規定されているためです。断面積への換算はあくまで判定を速くするための便法であり、中と大の境目だけは換算では判別できません。この1点だけは本数で覚えます。
出典:Panasonic「リングスリーブ」TERASU辞書(大の適用に1.6mm 7本・刻印「大」の記載あり)
早見表:サイズと刻印の対応
| 電線の組み合わせ | 合計 | スリーブ | 刻印 |
|---|---|---|---|
| 1.6mm × 2本 | 4mm² | 小 | ○ |
| 1.6mm × 3本 | 6mm² | 小 | 小 |
| 1.6mm × 4本 | 8mm² | 小 | 小 |
| 2.0mm × 2本 | 7mm² | 小 | 小 |
| 1.6mm × 2本 + 2.0mm × 1本 | 7.5mm² | 小 | 小 |
| 1.6mm × 5本 | 10mm² | 中 | 中 |
| 1.6mm × 6本 | 12mm² | 中 | 中 |
| 2.0mm × 3本 | 10.5mm² | 中 | 中 |
| 2.0mm × 4本 | 14mm² | 中 | 中 |
| 1.6mm × 7本 | 14mm² | 大 | 大 |
| 2.0mm × 5本 | 17.5mm² | 大 | 大 |
色を付けた2行が、断面積の足し算だけでは判定を誤る箇所です。
どのくらい出るのか——収録データでの頻度
資格クエストに収録した第二種電気工事士の過去問(2015〜2024年・26セッション・1,300問)を集計すると、リングスリーブ専用の設問は配線図520問のうち46問(8.8%)で、設問タイプ別では図記号問題(167問・32.1%)に次ぐ規模です。1回の試験あたり1〜2問が出題されます。
出題形式は「使用するリングスリーブの種類と最少個数」を問うものと、「圧着マーク(刻印)」を問うものに大別されます。後者では1.6mm×2本か3本かで「○」と「小」が分かれる点が繰り返し狙われています。ステップ3の例外①は、そのまま頻出ポイントに対応します。
出典:資格クエストDB(2015〜2024年・26セッション・1,300問を集計)
試験直前の確認手順
- 接続する電線を数え、1.6mm=2、2.0mm=3.5 で合計する
- 8以下なら小、14以下なら中、それを超えたら大
- 1.6mm×7本だけは例外。14でも大
- 刻印は原則スリーブ名と同じ。ただし1.6mm×2本のときだけ「○」
あわせて読む
- リングスリーブのサイズ表と出題パターン— 全パターンの一覧、学科での出題傾向、施工上の判定基準まで
- 複線図の描き方— スリーブのサイズを決める前提になる、接続本数の数え方
- 候補問題13問の使用電線一覧— 技能試験でどの電線が出るか(公表データ)