第二種電気工事士の合格率は「約60%」と言われるが、これは学科と技能を混同した数値である。本記事では電気技術者試験センターが公表する過去10年の公式データを学科・技能別に整理し、合格率から読み取れる「受かる人と落ちる人の差」を、資格クエストの約1,300問DBから集計した分野別データと併せて客観的に解説する。
第二種電気工事士の合格率(公式データ)
まず結論から。第二種電気工事士の合格率は学科(筆記)で約59%、技能で約71%です(令和6年度・電気技術者試験センター発表)。この2つを別々に見ることが重要です——多くのサイトが「合格率約60%」と一言で片付けていますが、学科を突破した人の約7割が技能でも合格するという構造になっており、学科こそが最初の関門です。
| 年度 | 学科受験者 | 学科合格率 | 技能受験者 | 技能合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 139,087 | 56.6% | 99,610 | 71.8% |
| 令和6年度 ★ | 132,462 | 58.1% | 94,238 | 70.2% |
| 令和5年度 | 134,025 | 59.4% | 95,337 | 71.0% |
| 令和4年度 | 145,088 | 55.9% | 97,659 | 72.6% |
| 令和3年度 | 156,553 | 59.2% | 116,276 | 72.8% |
| 令和2年度 | 104,883 | 62.1% | 72,997 | 72.5% |
| 令和元年度 | 122,266 | 65.9% | 100,379 | 65.3% |
| 平成30年度 | 123,279 | 55.4% | 95,398 | 67.5% |
| 平成29年度 | 112,379 | 59.1% | 81,356 | 68.8% |
| 平成28年度 | 114,528 | 58.6% | 84,805 | 73.3% |
出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験結果」(確認日: 2026年4月12日)
10年間のサマリー
- 学科合格率の10年平均:約59%
- 技能合格率の10年平均:約71%
- 学科が最初の関門——技能は学科合格者の約7割が通過
他の電気系資格との難易度比較
「合格率59%は難しいのか、易しいのか」——他の電気系資格と比較すると、立ち位置がはっきりします。第二種は電気系資格の入門ポジションに位置し、上位資格との差は大きいです。
| 資格 | 学科合格率 | 技能合格率 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| 第二種電気工事士 ← ここ | 約55〜66% | 約65〜73% | 易〜普通 |
| 第一種電気工事士 | 約40〜62% | 約60〜71% | 普通 |
| 電験三種(第三種電気主任技術者) | 約12〜19% | — | 難 |
出典(第一種):電気技術者試験センター「第一種電気工事士試験結果」(令和6年度実績: 学科56.7%・技能59.9%)。出典(電験三種):同センター「電験三種試験結果」(令和6年度: 16.4%・令和5年度: 18.8%)。確認日: 2026年4月12日
特に電験三種との差は歴然です。電験三種は合格率10〜19%と、学習量・難易度ともに桁違いで、学習時間は500〜1,000時間以上が必要とされます。電気のキャリアを目指す場合は、まず第二種電気工事士で合格実績を積み、段階的にステップアップする方法が現実的です。第二種から第一種への具体的な追加学習量や試験範囲の差は第一種と第二種電気工事士の違いを徹底比較で解説しています。
合格率59%でも「難しい」と言われる理由
「59%なら余裕じゃないか」と思われがちだが、準備不足のまま臨んだ多くの受験者がつまずくのが実態である。その理由は数字の裏に隠れている。
① 試験範囲が7分野にわたる
電気基礎理論・配電理論・機器と材料・施工方法・検査方法・法規・配線図——と幅広い。ノー勉で受かる試験ではありません。
② 配線図が全問題の40%を占める
資格クエストの過去問DB約1,300問(2015〜2024年・全26回分)を分析すると、配線図だけで520問(全体の40%)を占めます。図記号・複線図の読み方はテキストを読むだけでは身につきません。
③ 計算問題が数学苦手層に高い壁を作る
電気基礎理論131問・配電理論130問(合計261問・全体の約20%)は計算が必要です。オームの法則・電力計算・回路計算など、中学〜高校レベルの数学が求められます。
④ 法規の暗記量を軽視しがち
法規分野は77問(全体の約6%)と比率は低いですが、電気工事士法・電気設備技術基準など複数の法令を横断的に暗記する必要があり、後回しにすると直前に詰まります。
分野別の出題数(資格クエストDB・2015〜2024年・全26回分)
計1,300問 / 2015〜2024年の全26回分
試験に落ちる人の典型パターン(3つ)
合格率59%ということは、受験者の約4割が学科で不合格になっています。不合格になる人には共通のパターンがあります。
- 1
計算問題を全て捨てる
電気基礎理論・配電理論の計算を「難しいから」と切り捨てると、全体の約20%(約10点相当)を失います。合格ラインは60点なので、計算ゼロでは他分野で高得点を取り続けなければならず、リスクが高くなります。基本パターン5〜6種類を押さえるだけで十分得点できます。
- 2
法規を後回しにする
試験1週間前に「法規の範囲が広すぎる」と気づくパターン。電気工事士法・電気設備技術基準・電気用品安全法など複数の法令を横断的に暗記する必要があります。中盤(勉強開始から1〜2週間後)から並行して進めるのが鉄則です。
- 3
テキストを読むだけで「わかった気」になる
テキストを読んで理解した気になっても、実際に問題を解けるかどうかは別物です。試験は問題を解く能力を問うため、過去問演習なしには合格できません。特に配線図問題は、読んでいるだけでは絶対に解けるようになりません。
合格するための3つの条件
過去問を最低5年分・3周解く(計算問題も含めて)
第二種電気工事士は過去問の的中率が高い試験です。特に配線図(520問・全体の40%)は繰り返し解いて図記号を体に叩き込みましょう。3周目になると、間違えた問題が一目でわかるようになり、弱点を集中的に潰せます。
学習時間の目安は100〜150時間
電気の知識ゼロからなら100〜150時間が現実的な目安です。1日1時間なら約3〜5か月、1日2時間なら約2〜3か月。週末だけの学習では時間が足りなくなるケースが多いため、平日も短時間でよいので継続することが重要です。
法規は中盤から並行して進める
法規は後回しにすると直前に詰まります。電気基礎理論と並行して、勉強開始から2週間後あたりから少しずつ法規の暗記を始めましょう。1日10分でも「電気工事士法」「電気設備技術基準」の条文に触れる習慣をつけると、試験前の焦りを防げます。
技能試験の難易度(参考)
学科を突破した後は技能試験です。技能合格率は約71%と学科より高めですが、「合格率が高い=楽」ではありません。学科合格者という一定の準備をした層が受験するため、比率が高く見えているだけです。
- 候補問題は毎年13問が事前公表される。13問全て練習しておくことが基本です
- 試験時間は40分——実際にやってみると非常にタイトです。手の動きを反射的に覚えるまで繰り返す必要があります
- 工具・電線セットへの投資が必要——電工ナイフ・圧着工具等のセットで5,000〜10,000円程度かかります
- 合否の判定は「重大欠陥なし」が条件。リングスリーブのサイズミス・絶縁被覆のはみ出し等が重大欠陥になります
技能対策のポイント
まず複線図(単線図→複線図への変換)を完璧にしてから実際の配線作業に移ること。複線図が描けないと、候補問題をいくら練習しても時間内に完成できません。
まとめ
第二種電気工事士の合格率は、学科約59%・技能約71%(令和6年度・電気技術者試験センター)。合格率だけ見れば難しくないように思えますが、無策で受かる試験ではありません。
- 学科最大の壁は配線図(全体の40%・520問)——図記号の反復練習が必須
- 計算問題は捨てない——基本パターン5〜6種類のマスターで十分
- 法規は中盤から並行して進める
- 過去問演習が最も効率的な対策
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