資格クエスト
第一種電気工事士

第一種と第二種電気工事士の違いを徹底比較【工事範囲・試験範囲・免状要件】

第一種電気工事士と第二種電気工事士の決定的な違いを4点(工事範囲・試験範囲・免状要件・合格率)で整理。第二種の取得後、第一種に挑むべきかの判断材料と、追加3分野(自家用検査・電気応用・発電送配電)の学習コストを公式データで解説します。

公開 2026年4月27日11
第二種電気工事士の取得後、次に検討する資格として真っ先に挙がるのが第一種電気工事士です。両資格は名前が似ているだけで、工事範囲・試験範囲・免状要件のいずれも明確に異なります。本記事では電気技術者試験センターの公式データと、資格クエストの過去問DB(第二種1,300問・第一種650問)の集計結果をもとに、4つの決定的な違いを客観的に整理します。

結論:4つの決定的な違い(先出し)

詳細な比較に入る前に、第一種と第二種の違いを4点に集約します。受験を検討している方はまずここを押さえてください。

① 工事範囲:第一種は最大電力500kW未満の自家用電気工作物まで対応

第二種は一般用電気工作物(住宅・小規模店舗の600V以下)に限定。第一種はそれに加え、ビル・工場・大型店舗などの高圧受電設備(最大電力500kW未満)まで工事できます。

② 学科試験範囲:第二種は7分野、第一種は9分野

第一種では「発電・送電・変電施設」「自家用電気工作物の検査方法」「電気応用」の3分野が追加されます。

③ 免状交付要件:第一種は実務経験3年が必須

受験資格はどちらも不問ですが、第二種は試験合格後そのまま申請可。第一種は試験合格に加えて電気工事の実務経験3年が必要です(令和3年4月の施行規則改正により学歴問わず一律3年)。

④ 合格率の差:第一種のほうが学科・技能ともにやや低い

令和6年度実績で第二種は学科58.1%・技能70.2%、第一種は学科56.7%・技能59.9%。とくに技能で約10ポイントの差があります。

工事範囲の違い(業務独占範囲)

電気工事士法第3条で定められた業務独占範囲は次の通りです。第一種は第二種の範囲をすべて含むため、「上位互換」と表現されることもあります。

対応現場第二種第一種
一般住宅・アパート(低圧600V以下)
小規模店舗・コンビニ(低圧受電)
中小工場(高圧受電・500kW未満)×
中規模ビル・大型店舗(高圧キュービクル)×
大規模工場(最大電力500kW以上)××

※500kW以上の自家用電気工作物の工事は、電気主任技術者の管理下で行われ、電気工事士法の対象外(電気工事士法第3条)。

第二種だけだと「住宅から先に進めない」という壁があります。第一種を取得すると、ビルメンテナンス会社・電気工事会社の現場でキュービクル更新工事や受変電設備の改修にも入れるようになり、対応できる現場の幅が一気に広がります。

試験範囲の違い(学科)

学科試験は、第二種が7分野、第一種が9分野で構成されます。第一種で新たに加わる3分野が、上位資格としての色合いを決定づけています。

分野第二種第一種
電気に関する基礎理論
配電理論及び配線設計
電気機器・配線器具・工具・材料(受電設備含む)
電気工事の施工方法
検査方法
配線図
保安に関する法令
発電・送電・変電施設の構造及び特性○ 追加
自家用電気工作物の検査方法○ 追加
電気応用○ 追加

資格クエストの第一種DB650問(2015〜2024年度・全13セッション)を分野別に集計すると、追加3分野は合計で約22%を占めます。とくに自家用電気工作物の検査方法は7.5%と無視できない比率です。

第一種DB分野別出題比率(資格クエスト集計・2015〜2024年・全13セッション)

配線図140問(21.5%)機器・配線器具・工具・受電設備127問(19.5%)電気工事の施工方法76問(11.7%)電気に関する基礎理論65問(10.0%)発電・送電・変電施設 ★52問(8.0%)配電理論及び配線設計51問(7.8%)自家用電気工作物の検査方法 ★49問(7.5%)保安に関する法令47問(7.2%)電気応用 ★43問(6.6%)

計650問 / ★は第二種にはない第一種固有の分野

合格率の比較

令和6年度(2024年度)実績で両資格を並べると、第一種は学科・技能ともに第二種よりやや低い水準です。とくに技能の差が約10ポイントあるのが特徴です。

区分第二種(令和6年度)第一種(令和6年度)
学科58.1%56.7%
技能70.2%59.9%

出典:電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験結果」同センター「第一種電気工事士試験結果」(確認日: 2026年4月27日)

第二種の10年平均は学科約59%・技能約71%、第一種の10年平均は学科約53%・技能約63%です。第二種より一段階難しいものの、電験三種(学科合格率10〜19%)と比べれば現実的なレンジに収まっています。

試験頻度の違い

第二種は2018年度以降、安定して年2回(上期・下期)実施されてきました。一方、第一種は長年「年1回」でしたが、令和6年度(2024年度)から年2回化されています。受験チャンスが倍増したことで、社会人にとって計画が立てやすくなりました。

区分第二種第一種
試験回数年2回年2回(令和6年度〜・以前は年1回)
学科方式CBT または 筆記CBT または 筆記
学科試験時間120分140分
合格基準50問中30問正解50問中30問正解

学習量の差(目安)

第一種電気工事士の学習時間について、電気技術者試験センターによる公的な統計はありません。あくまで複数の予備校資料・受験対策サイトでの目安として、以下の数字が言及されることが多いです。

受験者層学習時間の目安補足
第二種既取得者60〜100時間追加3分野+上位範囲の補強が中心
電気予備知識ゼロ150〜250時間基礎理論から積み上げが必要

※公的データではなく、複数の予備校・受験対策サイトでの記述に基づく目安です。

第二種を独学100〜150時間でクリアした方であれば、追加3分野+上位範囲の補強で済むため、感覚的には「第二種の半分弱の労力」で第一種に届く設計になっています。記憶が新しいうちに連続受験するのが効率的です。

免状交付の違い(重要)

ここが両資格の最も大きな構造的な違いです。受験資格はどちらも不問ですが、合格後の免状交付プロセスが大きく異なります。

第二種

  • 学科+技能合格 → そのまま申請可
  • 実務経験不要
  • 都道府県知事に申請
  • 定期講習の義務なし

第一種

  • 学科+技能合格 + 実務経験3年が必須
  • 令和3年4月1日施行で「学歴問わず3年」に統一
  • 試験合格前の実務経験も対象
  • 免状取得後は5年に1度の定期講習受講義務あり

出典:電気技術者試験センター「免状交付」経済産業省「電気工事士法施行規則の改正」(確認日: 2026年4月27日)

実務経験が足りなくても試験には合格できるため、「先に資格を取得して、その後の現場で実務経験を積む」というルートも一般的です。試験合格の効力は失効しないため、合格後3年経って実務経験要件を満たした時点で申請すれば免状が交付されます。

どちらを先に取るべきか

未取得の方 → 第二種から

受験資格は両方とも不問ですが、第一種の試験範囲は第二種を完全に内包します。電気の知識ゼロからいきなり第一種に挑むと、追加3分野(発電・送電・変電/自家用検査/電気応用)に加えて第二種の基礎範囲も同時にこなす必要があり、学習負荷が一気に跳ね上がります。第二種で100〜150時間の独学ルートを経てから第一種に進むのが定石です。

第二種既取得の方 → 第一種で工事範囲を拡大

第二種の知識が新しいうちに第一種にチャレンジするのが最も効率的です。追加3分野は合計でDBの約22%、学習時間の目安は60〜100時間。住宅工事だけでは頭打ちになる年収・キャリアの天井を、ビル・工場・キュービクル更新へと広げることができます。すでに電気工事の現場にいる方は、合格後の実務経験3年がカウントされるため、免状交付までのタイムラインも見えやすいです。

まとめ

第一種と第二種の違いを整理すると次のとおりです。

  • 工事範囲:第二種は600V以下/第一種は最大電力500kW未満の自家用電気工作物まで
  • 試験範囲:第二種7分野/第一種9分野(発電送変電・自家用検査・電気応用が追加)
  • 合格率(令和6年度):第二種 学科58.1%・技能70.2%/第一種 学科56.7%・技能59.9%
  • 試験頻度:第二種は年2回/第一種は令和6年度から年2回
  • 免状要件:第一種は実務経験3年+5年に1度の定期講習が必須

第二種既取得の方にとって第一種は、追加学習60〜100時間で工事範囲とキャリアを大きく広げられる現実的な次の一歩です。第二種の合格率分析も併せて参照しながら、自分の現在地と次の到達点を見極めてみてください。

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