リングスリーブの圧着は、第二種電気工事士の学科試験(配線図520問のうち46問・8.8%)と技能試験の両方に登場する最重要テーマである。技能試験でサイズを間違えると「重大欠陥」で一発不合格になる。本記事では、電線の組み合わせ×リングスリーブサイズ×圧着マークの対応関係を1枚の表で整理し、学科と技能を一気に攻略する最短ルートを解説する。
リングスリーブとは——差込形コネクタとの違い
リングスリーブは、VVFケーブルの心線(銅線)をまとめて圧着接続するための筒状の金属器具です。圧着工具(リングスリーブ用)でかしめることで電線を恒久的に接続します。一度圧着すると外せないため、接続ミスは切断・やり直しになります。
| 比較項目 | リングスリーブ | 差込形コネクタ |
|---|---|---|
| 接続方法 | 圧着工具でかしめる | 差し込むだけ(工具不要) |
| 再利用 | 不可(一度圧着したら外せない) | 可能(引き抜いて再接続できる) |
| 電線本数 | 2〜6本(サイズによる) | 2・3・4本用などサイズ別に選ぶ |
| 圧着マークの有無 | あり(○・小・中・大の刻印が残る) | なし |
| 技能試験での指定 | 施工条件で「リングスリーブ」と明記 | 施工条件で「差込形コネクタ」と明記 |
技能試験では施工条件に接続器具が指定されます。指定に反した器具を使うと欠陥扱いになるため、必ず施工条件を確認してから作業を始めてください。
学科試験での出題位置
リングスリーブは学科試験の2箇所で出題されます。①配線図分野:問31〜50の中で「使用するリングスリーブの種類と最少個数」として出題(複線図から電線本数を求めてサイズを決定する)。②電気機器・配線器具・工具分野:リングスリーブや圧着工具の写真鑑別として出題。両方とも頻出です。
学科試験での出題パターン——DBデータで見る頻度
資格クエストのDBに収録された過去10年・26セッション・1,300問を分析すると、リングスリーブ関連の出題は次のような分布になります。
| 出題区分 | 10年間の問題数 | 全体に占める割合 | 1回あたり |
|---|---|---|---|
| 配線図:リングスリーブの圧着・刻印・最少個数 | 46問 | 8.8% | 約1〜2問 |
| 工具・材料:圧着工具・リングスリーブの鑑別 | 212問中の一部 | (工具材料全体16%) | 毎回出題 |
出典:資格クエストDB(2015〜2024年・26セッション・1,300問を集計)。2026年4月18日時点。
配線図520問のうち46問(8.8%)がリングスリーブの専用設問です。設問タイプ別では図記号問題(167問・32.1%)に次ぐ第2位グループに入るボリュームです。1回の試験あたり1〜2問が出題されますが、複線図を正確に描ければほぼ確実に得点できるため、得点率の高い分野でもあります。
出題の典型パターン
パターン①:最少個数を問う
「⑩で示すボックス内の接続をすべてリングスリーブで行う場合、使用するリングスリーブの種類と最少個数の組み合わせとして正しいものは」という形式。複線図を描いてジョイントボックス内の接続を数え、スリーブサイズを決定します。
パターン②:圧着マーク(刻印)を問う
「③で示す部分の接続に使用するリングスリーブの刻印(圧着マーク)として正しいものは」という形式。1.6mm×2本か3本かで「○」と「小」が分かれる点が最頻出ポイントです。
パターン③:写真鑑別(工具・材料分野)
リングスリーブや圧着工具(リングスリーブ用・黄色柄)の写真を見て名称を答えます。差込形コネクタと混同しないことが重要です。
リングスリーブのサイズと圧着マーク対応表【最重要】
リングスリーブの選定は「電線の断面積の合計」で決まります。1.6mm単線は断面積約2mm²、2.0mm単線は断面積約3.5mm²として計算します。下表が学科・技能両試験で使う根本の知識です。
| 電線の組み合わせ | 断面積の合計 | リングスリーブ サイズ | 圧着マーク (刻印) |
|---|---|---|---|
| 1.6mm × 2本 | 約4mm² | 小 | ○ |
| 1.6mm × 3本 | 約6mm² | 小 | 小 |
| 1.6mm × 4本 | 約8mm² | 小 | 小 |
| 1.6mm × 2本 + 2.0mm × 1本 | 約7.5mm² | 小 | 小 |
| 1.6mm × 5本 | 約10mm² | 中 | 中 |
| 1.6mm × 6本 | 約12mm² | 中 | 中 |
| 2.0mm × 2本 | 約7mm² | 小 | 小 |
| 2.0mm × 3本 | 約10.5mm² | 中 | 中 |
| 1.6mm × 1本 + 2.0mm × 2本 | 約9mm² | 中 | 中 |
| 1.6mm × 2本 + 2.0mm × 2本 | 約11mm² | 中 | 中 |
| 1.6mm × 3本 + 2.0mm × 1本 | 約9.5mm² | 中 | 中 |
| 2.0mm × 4本 | 約14mm² | 中 | 中 |
| 1.6mm × 7本以上 | 約14mm²〜 | 大 | 大 |
| 2.0mm × 5本以上 | 約17.5mm²〜 | 大 | 大 |
根拠:内線規程1340-1(リングスリーブの適用)。1.6mm ≒ 2mm²、2.0mm ≒ 3.5mm² として断面積を計算する。 出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験」(確認日: 2026年4月18日)
最重要:「○」と「小」の区別
小スリーブの中でも、1.6mm × 2本のときだけ圧着マークは「○(まる)」になります。1.6mm × 3本以上や2.0mm混在の場合は「小」です。「小スリーブ=小マーク」と思い込むと間違えます。2本なら○、それ以上なら小と覚えるのが最短です。
断面積で考える暗記法——計算なしで瞬時に判断する
電線の組み合わせを全パターン丸暗記するのは非効率です。「断面積の合計」で考えるルールを頭に入れれば、どんな組み合わせでも一瞬で判断できます。
【断面積ルール早見表】
1.6mm = 2mm²、2.0mm = 3.5mm²
■ 合計 ≦ 4mm²(1.6mm×2本のみ)
→ 小スリーブ、圧着マーク「○」
■ 合計 5〜8mm²(小スリーブの残り)
→ 小スリーブ、圧着マーク「小」
例:1.6mm×3本(6)、1.6mm×4本(8)、2.0mm×2本(7)、1.6mm×2本+2.0mm×1本(7.5)
■ 合計 9〜14mm²(中スリーブ)
→ 中スリーブ、圧着マーク「中」
例:1.6mm×5本(10)、2.0mm×3本(10.5)、2.0mm×4本(14)
■ 合計 15mm²以上(大スリーブ)
→ 大スリーブ、圧着マーク「大」
例:1.6mm×7本(14)→大、2.0mm×5本(17.5)→大
2.0mm×2本は「小」——見落としやすい例外
「2.0mm(太い電線)×2本なら中スリーブ」と思いがちですが、断面積の合計は3.5×2=7mm²で小スリーブの範囲(5〜8mm²)です。圧着マークも「小」になります。太い電線でも本数が少なければ小スリーブで対応できることを覚えておいてください。
技能試験での複線図との連携
学科試験の配線図問題でも技能試験でも、リングスリーブのサイズ選定は「複線図を描いてジョイントボックス内の電線本数と太さを確認する」という手順で行います。複線図が正確に描ければサイズ選定の間違いはほぼなくなります。複線図の攻略は配線図の出題傾向と攻略法【過去520問分析】で詳しく解説しています。
圧着工具(リングスリーブ用)の選び方と使い方
リングスリーブの圧着には専用工具が必要です。技能試験では工具の持ち込みが認められており、正しい工具を正しく使えないと重大欠陥になります。学科試験でも工具の写真鑑別・用途が出題されます。
| 工具の特徴 | 内容 |
|---|---|
| グリップの色 | 黄色(JIS規格によりリングスリーブ用は黄色と定められている) |
| ダイス(刻印部) | 「○」「小」「中」「大」の4種類が1本の工具に収録されている |
| ラチェット機構 | 最後まで握り切らないと解放されない構造。途中で手を離すと圧着が不完全になる |
| ダイス位置の確認 | 圧着前に必ずダイスの刻印位置を確認する。○・小・中・大を間違えないようにする |
| 他の圧着工具との違い | 電工ペンチ(赤柄)や端子圧着工具と外見が似ているが別物。学科試験の写真鑑別でも問われる |
工具選びの実務ポイント
- ・技能試験の工具セットに「リングスリーブ用圧着工具(黄柄)」が含まれているか確認する
- ・ホーザン社の「P-737」など定番品が使いやすく、技能試験で広く使われている
- ・握り込みが軽い(バネが強すぎない)ものを選ぶと試験40分間の作業が楽になる
技能試験での重大欠陥パターン——合格率70.2%の裏にある落とし穴
技能試験の合格率は令和6年度で70.2%(電気技術者試験センター発表)です。約3人に1人が不合格になっており、その主因の一つがリングスリーブの欠陥です。重大欠陥が1つでもあると、他が完璧でも即不合格になります。
出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験結果」(確認日: 2026年4月18日)
重大欠陥①:リングスリーブのサイズを間違える
例:1.6mm×3本なのに「小」スリーブで正しいはずが「中」スリーブを使った、または1.6mm×2本で「中」スリーブを使った場合。サイズの不一致は重大欠陥です。複線図を描いて本数を確認してから圧着に入る習慣が必須。
重大欠陥②:圧着マーク(刻印)を間違える
スリーブサイズは正しくても、ダイスの選択を誤ると刻印が「○」になるべきところ「小」になる等の欠陥が発生します。圧着前にダイス位置を指差し確認する癖をつけてください。
重大欠陥③:心線の差込不足・はみ出し
心線がスリーブ端から出ていない(差込不足)、または心線が大幅にはみ出している場合。心線はスリーブの反対側から1〜2mm程度出る状態が正常です。差込前に心線の長さを揃えて整えてください。
重大欠陥④:スリーブの斜め圧着・二度押し
スリーブを工具のダイスに対して斜めにセットすると不均一な圧着になり欠陥になります。また、一度圧着したスリーブに再度工具を当てる「二度押し」も欠陥扱いになる場合があります。
技能試験の作業手順(推奨)
- 複線図を描いて各接続点の電線本数と太さをメモする
- 複線図に基づきスリーブサイズをその場で書き込む
- 圧着前にダイス位置を指差し確認する
- 心線を揃えてスリーブに挿入し、スリーブを水平に保って圧着する
- 圧着後に刻印を目視確認する
差込形コネクタとの使い分け——施工条件が全て
技能試験では「リングスリーブを使用」「差込形コネクタを使用」のどちらかが施工条件に明示されます。条件に違反した場合は欠陥になるため、作業開始前に施工条件を必ず確認してください。
実務上の一般論としては「2本接続は差込形コネクタの方が素早い・再接続しやすい」「3本以上はリングスリーブが安定する」という傾向はありますが、試験では条件指定に従うことが最優先です。
施工条件の読み方——よくある記載例
- 「ジョイントボックス(アウトレットボックス)内の電線の接続は、すべてリングスリーブによる接続とすること」
→ ボックス内の全接続にリングスリーブを使用する - 「VVF用ジョイントボックス内の電線の接続は、差込形コネクタを使用すること」
→ ジョイントボックス内には差込形コネクタを使用する - 「電線の接続は、差込形コネクタを使用してよい箇所とリングスリーブを使用する箇所を、それぞれ施工条件の接続図に示す」
→ 接続図を見て箇所ごとに使い分ける(候補問題によっては混在する)
間違えやすいパターン TOP4——過去問でよく問われる落とし穴
NG①:「小スリーブ=小マーク」と思い込む
正:1.6mm × 2本 → 小スリーブ・マーク「○」
正:1.6mm × 3〜4本 → 小スリーブ・マーク「小」
スリーブサイズと圧着マークは「小」でも別物です。2本の時だけ「○」になる例外を確実に覚えておくことが最重要です。
NG②:2.0mm×2本を中スリーブと思い込む
正:2.0mm × 2本 =断面積7mm² → 小スリーブ・マーク「小」
「太い電線を2本つなぐ=中スリーブ」という思い込みは誤りです。断面積で判断すると7mm²は小スリーブの範囲に収まります。
NG③:複線図の本数を数え間違える
単線図を複線図に変換する際に電線本数を誤ると、スリーブサイズも間違えます。特にジョイントボックス内の接続は、接地側・非接地側・スイッチ戻り線を丁寧に区別して数えることが重要です。
NG④:「最少個数」を誤答する
配線図設問では「最少個数」が問われます。例えば同じボックス内に「1.6mm×2本」と「1.6mm×3本」の接続点が2箇所ある場合、スリーブは小が2個(マーク「○」1個と「小」1個)が最少です。異なるサイズを1つにまとめることはできません。
まとめ
リングスリーブの攻略ポイントをまとめます。
- 学科:配線図520問のうち46問(8.8%)がリングスリーブ専用設問——複線図が描ければ確実に得点できる
- 「1.6mm×2本=○(まる)」だけは別扱い——それ以外の小スリーブは全て「小」マーク
- 断面積の合計で考える——1.6mm=2mm²、2.0mm=3.5mm²と換算して合計4mm²以下なら○、5〜8mm²なら小、9mm²以上は中
- 技能試験での重大欠陥——サイズ間違い・マーク間違い・差込不足・斜め圧着が一発不合格の原因。複線図確認→ダイス確認→圧着の順を守る
- 技能合格率70.2%(令和6年度)——約3人に1人が不合格。準備なしで受かる試験ではない
学科と技能の両方で問われるリングスリーブは、1度正確に覚えれば両試験の得点源になります。独学3ヶ月での合格戦略は第二種電気工事士 完全攻略ガイドで全分野の配点・ロードマップとともに解説しています。
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