第二種電気工事士学科試験の配線図問題520問(2015〜2024年、資格クエストDB)を分析すると、そのうち167問(32.1%)が「図記号の名称・用途を直接問う問題」で占められている。1回の試験で6〜8問が記号の暗記で解けてしまう計算だ。本記事は、配線図分野の全体戦略を踏まえたうえで、「どの記号を、どのグループに整理し、どう区別して覚えるか」に絞ったチートシート形式のリファレンスである。出題頻度と紛らわしいペアの整理を軸に、最短で暗記を終わらせるための情報を集約した。
配線図記号は2系統の規格に分かれる
試験に登場する記号は、出題元の規格によって2系統に分けられます。どちらも電気技術者試験センターの公式資料で併用されており、試験問題でもこの両方が混在して出題されます。
| 系統 | 規格名 | 主な対象 | 試験での位置づけ |
|---|---|---|---|
| 電気用図記号 | JIS C 0617 | 機器・部品の電気的機能を表す汎用記号 | 全般的に使用 |
| 住宅用配線図記号 | 内線規程(JEAC 8001) | 住宅の配線図で使う照明・コンセント・点滅器等 | 第二種では主流 |
第二種電気工事士の学科試験は住宅配線の問題が中心のため、内線規程の住宅用配線図記号が出題の大半を占めます。ただし遮断器・開閉器・計器類は JIS C 0617 の記号で出ることが多く、両系統を押さえておく必要があります。
図記号問題167問のカテゴリ別内訳
資格クエストDBの配線図520問から、図記号の名称・用途を直接問う問題167問を抽出し、登場する記号のカテゴリで分類しました。どのグループの記号を優先的に覚えるべきかを示すデータです。
| カテゴリ | 問題数 | 代表的な記号 |
|---|---|---|
| 点滅器・スイッチ類 | 約40問 | 単極・3路・4路・位置表示・自動点滅・タイマ付 |
| コンセント類 | 約35問 | 2口・3口・接地極付・抜止・防雨・専用回路 |
| 照明器具 | 約30問 | 引掛シーリング(角形・丸形)・白熱灯・蛍光灯・誘導灯 |
| 開閉器・遮断器・保護器具 | 約30問 | 配線用遮断器(B)・漏電遮断器(BE)・開閉器(S)・電流計付 |
| 計器・機器・配線 | 約32問 | 電動機(M)・換気扇・電力量計・配管種別(VVF・CV・CVT) |
上位3カテゴリ(点滅器・コンセント・照明器具)だけで図記号問題の約63%を占めます。優先順位の目安として、まずこの3グループの頻出記号を潰してから、開閉器・計器系へ広げると効率的です。
チートシート①:照明器具
照明器具の記号は「丸(◯)または楕円」が基本形で、中の記号や添字で種別を区別します。引掛シーリングは住宅配線で必ず出題されるため、角形・丸形の区別と併せて確実に覚えましょう。
| 記号 | 名称 | 形状の特徴・見分け方 |
|---|---|---|
| ○ | 白熱灯(一般) | ただの丸。壁付け記号は DL/CL などの文字を添える |
| ○ + CH | シャンデリア | CH は Chandelier の略 |
| 長方形 | 蛍光灯 | 細長い長方形。内部に「F」を入れて区別することも |
| ○(角形) | 引掛シーリング(角形) | 四角の中に「○」。配線用差込接続器で最頻出 |
| ○(丸形) | 引掛シーリング(丸形) | 円の中に「○」。角形との違いは外形のみ |
| ○ + EL | 誘導灯 | EL は Emergency Light。添字なしの白熱灯と混同注意 |
| ○(下向き矢印) | ペンダント(吊り下げ型) | ○に下向きの線(吊り下げのイメージ) |
| ○(壁添え) | ブラケット(壁付け) | 半円または○に壁の線を添える |
チートシート②:コンセント類
コンセントの記号は「半円またはU字型」が基本で、口数・接地極・特殊用途を添字と数字で表現します。接地極付(E)・接地端子付(ET)・防雨(WP)・抜止(LK)は紛らわしい略記なので、意味を言葉で紐づけて覚えるのが近道です。
| 表記 | 意味 | 試験で出る典型的な問い方 |
|---|---|---|
| 2 | 2口コンセント | 数字は差込口の数 |
| 3 | 3口コンセント | OA機器向け |
| E | 接地極付 | Earthing の E。3Pプラグが挿せる |
| ET | 接地端子付 | Earthing Terminal。接地線をネジ留めする端子付き |
| EET | 接地極付接地端子付 | E+ET の両方を備える |
| WP | 防雨形 | Water Proof。屋外用 |
| LK | 抜止形 | 差込後にひねってロックするタイプ |
| T | 引掛形 | Twist lock。抜止形との違いに注意 |
| 20A / 250V | 定格表示 | 添字で容量を表す。20A以上は専用回路の目印 |
チートシート③:点滅器・スイッチ類
点滅器の記号は「黒丸(●)」が基本で、添字で種類・数字で極数を表します。3路・4路は複線図問題にも直結する最重要記号です。
| 表記 | 名称 | 機能・用途 |
|---|---|---|
| ● | 単極スイッチ | 1ヶ所でON/OFFする最も基本的なスイッチ |
| ● 3 | 3路スイッチ | 階段・廊下など2ヶ所からON/OFF |
| ● 4 | 4路スイッチ | 3ヶ所以上の制御。3路の間に挟む |
| ● 2P | 2極スイッチ | 両線を同時に遮断(200V回路など) |
| ● H | 位置表示灯内蔵 | 暗闇で場所がわかるランプ付き(パイロット) |
| ● L | 確認表示灯内蔵 | 通電中に点灯(動作表示)。H と L の違い要注意 |
| ● A | 自動点滅器 | Automatic。明るさで自動ON/OFF(外灯用) |
| ● T | タイマ付スイッチ | Timer。一定時間で自動OFF |
| ● D | 調光スイッチ | Dimmer。明るさを調節 |
頻出の引っかけ:H と L の区別
「H(ほたる)」は消灯時に光って場所を知らせる——暗いと光る、覚え方は「H=HotaruHoshi」。 「L(ランプ)」は点灯時に光って動作を知らせる——通電中に光る、覚え方は「L=Live」。 この2つは同じスイッチに添えられるため、試験で最も混同されやすいペアです。
チートシート④:開閉器・遮断器・保護器具
分電盤で使われる遮断器類は、添字(B/BE/E/S)で機能が決まります。漏電遮断器は試験頻出で、「BE」と「E」の違いを問う設問が繰り返し出題されています。
| 表記 | 名称 | 機能 |
|---|---|---|
| S | 開閉器(スイッチ) | 手動で回路を開閉。遮断機能なし |
| B | 配線用遮断器 | Breaker。過電流で自動遮断(ブレーカー) |
| E | 漏電遮断器(電流動作形) | Earth leakage。漏電のみ感知 |
| BE | 漏電遮断器(過負荷保護付) | Breaker + Earth leakage。最も多機能 |
| 電流計付 | 電流計付箱開閉器 | 開閉器に電流計を内蔵 |
| Wh | 電力量計 | 使用電力量を積算(電気メータ) |
チートシート⑤:配線・機器・文字記号
配線の種類は線の描き方(実線・破線・一点鎖線)と文字記号(VVF・VVR・CV・CVT など)で表されます。機器記号の文字(M・F・A・V)も頻出です。
| 表記 | 意味 | 補足 |
|---|---|---|
| —— 実線 | 天井隠ぺい配線 | 天井裏に隠ぺい |
| - - - 破線 | 床隠ぺい配線 | 床下に隠ぺい |
| · · · 点線 | 露出配線 | 壁面などに露出 |
| VVF | 600V ビニル絶縁ビニルシースケーブル平形 | 住宅で最も一般的 |
| VVR | 600V ビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形 | VVF との断面形状の違い |
| CV | 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル | 耐熱性が高い |
| CVT | CV の単心3本より合わせ | Triplex(3本撚り) |
| IV | 600V ビニル絶縁電線 | 電線管に通して使う |
| M | 電動機(モータ) | Motor の M |
| F | 換気扇 | Fan の F |
| A | 電流計 | Ampere の A |
| V | 電圧計 | Volt の V |
| RC | ルームエアコン | Room Conditioner |
紛らわしい記号ペア——試験で狙われる4対
図記号問題の誤答は、多くの場合「似た形・似た略記」の組み合わせから起こります。試験で繰り返し狙われる4つのペアを押さえておけば、引っかけ対策は大きく進みます。
ペア1:引掛シーリング(角形 vs 丸形)
機能は同じで、外形が四角か円かだけの違い。試験では両方の記号を並べて「名称を選べ」と問われることが多く、単に「引掛シーリング」と答えると誤答になります。必ず「角形」「丸形」まで含めて覚えましょう。
ペア2:漏電遮断器(E 単体 vs BE)
Eは「漏電のみ感知」、BEは「過負荷+漏電」。住宅の分電盤で実用されているのはほぼBEです。単体のEは中間分電盤や特殊用途で出題されるため、「住宅の主幹=BE」が覚えやすい紐づけです。
ペア3:位置表示灯付(H)vs 確認表示灯付(L)
どちらもスイッチに添えられる略字で、ランプ内蔵という点も共通。違いは「いつ光るか」。H=消灯時に光る(位置を示す)、L=点灯時に光る(動作を示す)。H のランプはスイッチに並列、L はスイッチに直列というネオンランプ配線の違いが根拠です。
ペア4:接地極付(E)vs 接地端子付(ET)
Eはコンセント本体に接地ピンの穴がある(3Pプラグ用)。ETはコンセントの脇にネジ留め端子がある(接地線を直接繋ぐ)。両方を備えたものがEETです。洗濯機や電子レンジのコンセントが典型例。
効率的な覚え方3つ
コツ1:英字は英単語の頭文字として覚える
WP=Water Proof(防雨)、LK=Lock(抜止)、T=Timer/Twist(タイマ/引掛)、D=Dimmer(調光)など、略記は英単語の略である場合が大半です。意味ごと暗記するより、英単語から辿った方が応用が利きます。F(Fan)、M(Motor)、A(Ampere)、V(Volt)も同じ考え方で覚えられます。
コツ2:紛らわしいペアは必ず対で覚える
前節で挙げた4つのペアのように、試験で狙われるのは似て非なる記号です。単体で覚えても混同しますが、「違いの軸」で対比して覚えると長期記憶に残りやすくなります。H/L なら「光るタイミング」、E/ET なら「接地の方法」など、違いを一言で説明できる状態を目指しましょう。
コツ3:実際の配線図の中で位置関係と一緒に見る
記号単体を羅列したフラッシュカードより、実際の住宅配線図の中で「玄関→外灯→自動点滅器(●A)」「浴室→換気扇(F)+照明」「キッチン→専用回路(20A)+防雨コンセント」のように、使用場面とセットで覚えると暗記が定着します。資格クエストの過去問は配線図の実例付きなので、記号の暗記と位置関係の学習を同時に進められます。
出典・参考規格
- 一般財団法人電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験」公式情報(https://www.shiken.or.jp/)
- JIS C 0617「電気用図記号」——日本産業標準調査会(JISC)で公開されている電気用図記号の国内規格
- 内線規程(JEAC 8001)——一般社団法人日本電気協会が定める住宅用配線図記号の実務規格
- 資格クエスト収録データ——第二種電気工事士学科試験 2015〜2024年 26セッション・配線図分野520問の分類集計
まとめ
- 図記号は2系統——JIS C 0617(汎用)と住宅用配線図記号(内線規程)。第二種では後者が主流
- 出題167問のうち上位3カテゴリが約63%——点滅器・コンセント・照明器具から優先的に潰す
- 略記は英単語の頭文字で覚える——WP/LK/H/L/E/BE など、意味を英語に戻すと暗記が楽になる
- 紛らわしいペアは違いの軸で対比する——単体でなくペアで覚えることで試験の引っかけに強くなる
配線図分野全体の戦略や複線図の描き方については、配線図の出題傾向と攻略法および複線図の書き方5ステップを合わせて参照してください。
資格クエストで図記号付き過去問を実演習
実際の配線図中で記号がどう使われるかは、過去問を解くのが最短ルートです。第二種電気工事士の配線図問題520問(2015〜2024年)を画像付きで完全収録。登録不要・完全無料で演習できます。
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