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第一種電気工事士

第一種電気工事士 自家用電気工作物の検査方法【絶縁抵抗・継電器試験を完全攻略】

自家用電気工作物の検査方法は第一種電気工事士の独自分野で、過去10年650問中49問(7.5%)が固定的に出題されます。絶縁抵抗・接地抵抗・継電器試験(OCR/GR/DGR)・絶縁耐力試験・各種計器の5トピックを電技解釈の条文に基づいて整理した試験対策リファレンス。

公開 2026年4月27日13
「自家用電気工作物の検査方法」は第一種電気工事士の学科試験で出題される9分野のうち、第二種にはない第一種独自の領域だ。資格クエストDBの2015〜2024年・650問の集計では49問(全体の7.5%)が該当する。本記事は試験範囲の解説に絞ったものであり、現場での実機検査マニュアルではない点を先にお断りしておく。絶縁抵抗測定・接地抵抗測定・継電器試験・絶縁耐力試験・各種計器という5つの頻出トピックを、過去10年の出題傾向に沿って整理する。

自家用電気工作物の検査とは

自家用電気工作物とは、電気事業法で「電気事業の用に供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物」と位置付けられる設備で、一般的には高圧(600V超)で受電する事業所・工場・ビル等の受電設備を指します。第一種電気工事士は、最大電力500kW未満の自家用電気工作物の電気工事に従事できる資格であり、施工とともに受電設備の検査・保守の知識が学科試験で問われます。

第二種電気工事士の試験範囲は「一般用電気工作物」(住宅・小規模店舗の600V以下)に限られるため、高圧受電設備に関わる検査の出題はありません。これに対して第一種では、絶縁耐力試験・継電器試験など高圧設備特有の検査が必須科目として加わります。

DB集計:自家用電気工作物の検査方法は全体の7.5%

資格クエストの過去問DB(2015〜2024年・全13セッション・650問)を集計すると、本分野は49問・全体の7.5%を占めます。1セッション50問のうち平均3〜4問が固定的に出題されており、計算問題が少ない分、暗記のみで得点できる効率の高い分野です。

出題の頻出トピック5つ

DB49問を出題内容で分類すると、以下の5トピックに集約されます。これらが繰り返し問われるため、優先順位を意識した学習が有効です。

トピック問われる内容難易度
絶縁抵抗測定低圧/高圧の判定基準、メガーの使用法
接地抵抗測定A〜D種の許容値、3極法
継電器試験(OCR/GR/DGR)動作試験項目、試験電流・動作時間普通
絶縁耐力試験試験電圧の倍率、試験時間、前後の絶縁抵抗測定普通
各種計器クランプメーター、検相器、検電器の用途

集計範囲:資格クエストDB 2015〜2024年・全13セッション・自家用検査49問

絶縁抵抗測定(低圧/高圧)

絶縁抵抗測定は、電線や機器の絶縁状態を直流電圧で確認する検査です。絶縁抵抗計(メガー)を使い、対象電路の電圧区分に応じて測定電圧を切り替えます。低圧電路の判定基準は電気設備技術基準(電技)第58条に定められており、第一種でもこの値はそのまま頻出です。

電路の使用電圧絶縁抵抗の最小値測定電圧(DC)
対地電圧150V以下0.1MΩ以上125V
対地電圧150V超〜300V以下0.2MΩ以上250V
300V超(低圧)0.4MΩ以上500V
高圧電路別途判定基準1000V以上

出典:電気設備に関する技術基準を定める省令(電技)第58条

高圧電路はメガーで電圧1000V以上を印加して測定するのが一般的ですが、絶縁の最終的な判定は絶縁耐力試験で確認します(後述)。試験では「6.6kV受電設備の高圧ケーブルを測定するメガーは何V用か」という形で出題されます。

接地抵抗測定

接地抵抗測定は、接地極と大地の間の抵抗を確認し、漏電や地絡が発生したときに大地へ電流を確実に逃がせる状態かを判定する検査です。接地抵抗計(アーステスター)を使った3極法(被測定接地極E+補助接地棒P・C)が標準です。

電気設備技術基準解釈第17条に基づく接地工事の種別と接地抵抗値は以下のとおりです。

接地工事の種類接地抵抗値主な適用
A種10Ω以下高圧機器の外箱・避雷器等
B種150/Ig(Ω)以下変圧器の高低圧混触防止(低圧側)
C種10Ω以下(500Ω以下に緩和あり)300V超の低圧機器外箱
D種 ★頻出100Ω以下(500Ω以下に緩和あり)300V以下の低圧機器外箱

出典:電気設備技術基準の解釈 第17条

B種の出題パターン

B種接地抵抗値は「変圧器高圧側の1線地絡電流」の値が分からないと算出できません。第一種では「B種接地工事の接地抵抗値を求めるのに必要なものは?」という形で問われ、答えは「変圧器の高圧側電路の1線地絡電流」です(2023年下期Q21に出題)。

継電器試験(OCR / GR / DGR)

継電器(リレー)は、異常電流や地絡を検出して遮断器を動作させる保護装置です。自家用受電設備ではOCR・GR・DGRの3種が中心で、それぞれ動作試験の内容が異なります。

OCR(過電流継電器 / Over Current Relay)

短絡や過負荷による過大電流を検出して遮断器を動作させる。試験項目は主に以下。

  • 最小動作電流試験(タップ整定値で動作するか)
  • 動作時間特性試験(限時要素の動作時間)
  • 瞬時要素試験(瞬時要素を持つ機種のみ)

GR(地絡継電器 / Ground Relay)

零相変流器(ZCT)で地絡電流を検出する。動作電流値・動作時間の確認が中心。

DGR(地絡方向継電器 / Directional Ground Relay)

地絡電流の大きさに加え、零相電圧(ZPD/ZVT検出)と地絡電流の位相関係から自構内事故か外部事故かを判別する。試験項目は地絡電流・地絡電圧・位相特性・動作時間の組合せ。

出題例:2024年下期Q36「DGRの保護装置試験として、行わないものは」

GRとDGRの違いを区別する

GRは地絡電流の大きさのみで動作するため、隣接需要家の地絡(もらい事故)でも誤動作する場合があります。DGRは位相情報を加味して方向判別するため誤動作しにくい——この違いが繰り返し問われます。

絶縁耐力試験(高圧電路の交流耐圧試験)

絶縁耐力試験は、高圧電路や機器に規定の試験電圧を一定時間印加して絶縁破壊が起きないことを確認する検査です。受電設備の竣工時や定期点検時に実施され、メガーによる絶縁抵抗測定では検出できない弱点を炙り出します。

項目基準
試験電圧(交流)最大使用電圧の1.5倍
試験電圧(直流)ケーブルでは交流試験電圧の2倍(直流耐圧で代替する場合)
印加時間連続して10分間
試験前後の確認メガーによる絶縁抵抗測定を試験前後に実施

出典:電気設備技術基準の解釈 第15条

典型的な出題例:「最大使用電圧6,900Vの高圧受電設備の高圧電路を一括して交流で絶縁耐力試験を行う場合の試験電圧と試験時間の組合せとして、適切なものは」(2023年上期Q36)。

計算手順

  1. 最大使用電圧 6,900V × 1.5 = 10,350V(交流試験電圧)
  2. 印加時間は10分間
  3. 直流で代用するなら 10,350V × 2 = 20,700V

各種計器(クランプメーター・検相器・検電器)

受電設備の検査・保守で使う計器は名称と用途のセットで暗記します。試験では「○○を測定する計器はどれか」という直球問題が頻出です。

計器用途
クランプメーター電線を挟むだけで負荷電流・漏れ電流を非接触測定
検相器(相回転計)三相電源の相回転(正相/逆相)を確認。電動機の回転方向確認に必須
検電器電路に電圧が来ているか(活線/無電圧)を確認。低圧用/高圧用で使い分け
絶縁抵抗計(メガー)絶縁抵抗の測定(電路を停止し無電圧状態で実施)
接地抵抗計接地極の接地抵抗を3極法で測定

「直接関係のない計器」を問う形式に注意

「変圧器の絶縁油の劣化診断に直接関係のないものは」(2023年下期Q37)のように、逆引きの選択肢で出題されることがあります。各計器の用途を1対1で覚えるだけでなく、用途違いを除外できるレベルまで知識を整理しておくこと。

学習のコツ

  1. 1

    機器の役割を回路図とセットで覚える

    OCR・GR・DGRはキュービクル単線結線図のどこに配置されているかを把握すると、試験問題の単線図問題(配線図分野)と相互に強化されます。第一種では受電設備の単線結線図がそのまま出題されることが多く、自家用検査と配線図は学習が連動します。

  2. 2

    測定値の判定基準を暗記する

    絶縁抵抗値(0.1/0.2/0.4MΩ)、接地抵抗値(10/100Ω・緩和500Ω)、絶縁耐力試験の倍率(交流1.5倍・10分間)は数値で問われるため、即答できるレベルまで反復します。

  3. 3

    過去10年分の出題で頻出パターンを掴む

    自家用検査49問は同じ論点が形を変えて再出題されます。資格クエストの過去問演習で2015〜2024年の49問を分野フィルターで一気に解くと、頻出パターンが体感的に掴めます。

まとめ

自家用電気工作物の検査方法は、第一種電気工事士試験で第二種にはない独自分野として位置付けられ、毎回3〜4問が固定的に出題される頻出領域です。

  • 絶縁抵抗測定:低圧3区分(0.1/0.2/0.4MΩ)と高圧用1000V以上のメガー
  • 接地抵抗測定:A種10Ω・D種100Ω(漏電遮断器付きで500Ω)、B種は1線地絡電流から算出
  • 継電器試験:OCR/GR/DGRの動作試験項目、特にDGRは位相判別を行う点を区別
  • 絶縁耐力試験:交流で最大使用電圧×1.5倍を10分間、直流ならその2倍
  • 各種計器:クランプメーター/検相器/検電器の用途を1対1で暗記

各分野の優先順位や全体の学習配分は第一種電気工事士 完全攻略ガイドを、3か月で合格を目指す具体的なスケジュールは第一種電気工事士 学習ロードマップを参照してください。

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2015〜2024年の全13セッション(650問)を収録。分野別・年度別に絞り込んで効率的に演習できます。自家用検査49問だけを集中演習することも可能です。

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