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第一種電気工事士

第一種電気工事士 免状交付の実務経験3年【令和3年法改正・申請手続き完全解説】

第一種電気工事士の免状交付には実務経験3年が必要。令和3年4月1日施行の電気工事士法施行規則改正で「学歴問わず一律3年」に統一されました。実務経験として認められる工事・対象外工事、試験合格以外の取得ルート、5年に1度の定期講習までを公的出典で解説します。

公開 2026年4月27日11

第一種電気工事士は試験に合格しただけでは免状が交付されません。所定の実務経験を積んで、居住地の都道府県知事に申請する必要があります。本記事では、令和3年4月1日施行の電気工事士法施行規則改正で「学歴を問わず一律3年」に統一された最新ルール、実務経験として認められる工事の範囲、申請の流れ、5年に1度の定期講習までを公的出典をもとに整理します。

第一種電気工事士の免状交付要件

第一種電気工事士の免状は、電気工事士法に基づき居住地の都道府県知事が交付します。試験に合格しただけでは免状は出ず、原則として3年以上の実務経験を満たした上で申請する必要があります。

免状交付の基本条件(試験合格ルート)

  • ① 第一種電気工事士試験に合格していること
  • ② 電気工事に関し、所定の実務経験を3年以上有すること
  • ③ 居住地の都道府県知事に申請すること

旧制度との違い(令和3年4月1日改正の前後)

令和3年(2021年)4月1日施行の電気工事士法施行規則改正により、実務経験年数の要件が一律3年に統一されました。

時期学歴要件必要な実務経験
改正前(〜令和3年3月31日)大学・高専で電気工学等の課程を修めて卒業3年以上
上記以外(高卒・専門卒・実務経験者など)5年以上
改正後(令和3年4月1日〜)学歴を問わず一律3年以上

出典:経済産業省「電気工事士法施行規則の一部を改正する省令」電気技術者試験センター「免状の取得について」(確認日: 2026年4月27日)

改正のポイント——過去の合格者にも恩恵

実務的に重要なポイントは次の2点です。

① 令和3年4月1日以降の申請は学歴を問わず一律3年

改正前は学歴要件で3年・5年の2区分がありましたが、改正後は一律3年に統一されました。電気系の学歴がない方にとっては最大2年分の短縮効果があります。

② 試験合格日を問わず適用される

令和3年4月1日以降に申請する場合、試験合格日が改正前であっても新しい3年要件が適用されます。過去に合格して実務経験5年に達するのを待っていた方は、3年経過時点で申請可能になっています。

※ 個別ケースの取扱い(実務経験の起算日や対象工事の判断)は、申請先の都道府県の窓口で必ず確認してください。

実務経験として認められる工事

実務経験としてカウントできるのは、原則として次の電気工作物に対する電気工事です。

1

一般用電気工作物の電気工事

住宅・小規模店舗等で使用される600V以下の低圧受電設備に対する電気工事。第二種電気工事士の業務範囲と重なる領域で、第二種を取得して実務に就いた経験もカウント対象になり得ます。

2

自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)の電気工事

工場・ビル・商業施設などの高圧受電(600V超〜7,000V以下)の需要設備に対する電気工事。第一種電気工事士の主戦場となる領域です。

試験合格前の実務経験もカウント可

実務経験は試験合格の前後を問わず通算できます。第二種電気工事士として現場経験を積んでから第一種を受験するというルートが一般的で、試験合格時点ですでに3年以上の実務経験を満たしていれば、合格後すぐに免状申請が可能です。

出典:電気技術者試験センター「免状の取得について」(確認日: 2026年4月27日)

実務経験として認められない工事

以下の工事は、原則として免状交付の実務経験には算入できません。電気工事士法および同法施行規則で定められている除外領域です。

対象外の工事根拠・補足
「軽微な工事」電気工事士法施行規則第2条で定める軽微な工事(差込み接続器の取替え等)。そもそも電気工事士の資格不要な作業のため、実務経験には含まれません。
特殊電気工事最大電力500kW未満の需要設備におけるネオン工事および非常用予備発電装置工事。これらは「特種電気工事資格者」の領分で、第一種の実務経験としてはカウントされません。
5万V以上の架空電線路の工事発電所・変電所・送電線の高電圧工事は電気主任技術者の領分であり、電気工事士の業務範囲外。
保安通信設備の工事電気工作物の保安に関する通信設備工事は対象外。

自身の業務がどこまで実務経験に算入できるかは、申請先の都道府県窓口で個別確認することが確実です。

試験合格以外の免状取得ルート

第一種電気工事士の免状は、試験合格ルート以外にも一定の条件で取得可能です。

① 電気主任技術者免状取得+実務経験5年

電気主任技術者免状(電験一種・二種・三種のいずれか)を取得した後、電気工作物の工事・維持・運用に関する実務に5年以上従事した方は、試験合格を経ずに第一種電気工事士の免状交付を申請できます。

② 旧・高圧電気工事技術者試験合格者+実務経験3年

昭和62年以前の高圧電気工事技術者試験に合格した方で、電気工事の所定実務に3年以上従事した方も、第一種電気工事士の免状交付を申請可能です。

※ いずれのルートも、対象となる実務の内容や証明書類は都道府県により取扱いが異なる場合があります。事前に窓口で確認してください。

申請手続きの流れ

免状交付申請は、居住地の都道府県知事宛てに行います。試験を実施する電気技術者試験センターではなく、各都道府県の電気工事士免状窓口(産業労働部や工業保安担当課など、名称は都道府県により異なる)が受付先です。

一般的に必要となる書類

  • ・免状交付申請書(都道府県指定の様式)
  • ・試験合格通知書または合格証書(試験合格ルートの場合)
  • ・実務経験証明書(勤務先の事業主が証明)
  • ・住民票の写し
  • ・本人確認書類
  • ・写真(規格は都道府県により指定)
  • ・手数料

手数料・書式は都道府県ごとに異なります

交付手数料・申請書様式・写真規格・添付書類の細目は、申請先の都道府県によって異なります。申請前に必ず居住地の都道府県庁ウェブサイトまたは電気工事士免状担当窓口で最新情報を確認してください。「○○県 電気工事士 免状」で検索すると、自治体の案内ページに辿りつくのが一般的です。

申請のタイミング

実務経験3年を満たした時点でいつでも申請できます。試験合格直後に実務経験が満たされている方は、合格通知が届いた段階で申請準備に入るとスムーズです。実務経験証明書は勤務先の事業主の押印が必要なため、退職前に準備しておくと安心です。

5年に1度の定期講習(電気工事士法第4条の3)

第一種電気工事士には、免状取得後も5年に1度の定期講習を受講する義務があります(電気工事士法第4条の3)。第二種電気工事士にはない義務で、自家用電気工作物に関わる安全責任の重さを反映した制度です。

定期講習の概要

  • ・受講周期:免状交付日(または前回受講日)から5年以内ごと
  • ・実施機関:経済産業大臣の指定講習機関
  • ・内容:電気工事に関する法令、保安、技術の最新動向
  • ・形式:1日程度の集合講習またはオンライン講習(実施機関により異なる)

受講しなかった場合、電気工事士法に基づき免状返納の対象となり得ます。受講案内は登録住所宛に送付されるため、転居時の住所変更届は確実に行ってください。

試験合格者は実務経験を積む間も「合格」を活かせる

実務経験3年を待つ間も、第一種電気工事士試験の合格者は学習成果を業務に活かせます。

認定電気工事従事者の認定対象

第一種電気工事士試験の合格者は、所定の手続きを経て「認定電気工事従事者」として認定を受けられます。これにより、自家用電気工作物のうち低圧部分(簡易電気工事)の電気工事に従事できます。詳細な要件は経済産業省産業保安監督部にて確認可能です。

高圧分野の知識を実務にフィードバック

キュービクル・受変電設備・継電器試験などの知識は、第二種電気工事士のままでは触れられない領域です。試験勉強で得た知識は現場で先輩の作業を理解する助けになり、実務経験のスピードと深度を引き上げます。

転職・社内評価でのアピール材料

「第一種電気工事士試験合格・免状交付待ち」というステータスは、電気工事業界での転職や社内評価で高く評価されます。免状交付までの3年間も、合格者としてキャリアを積み上げられます。

まとめ

第一種電気工事士の免状交付要件は、令和3年4月1日の施行規則改正により、学歴を問わず一律3年の実務経験に統一されました。要点は以下のとおりです。

  • 試験合格+実務経験3年——令和3年4月1日以降の申請は学歴問わず一律3年で申請可能
  • 実務経験は試験合格の前後を問わず通算可——合格時点で3年に達していれば即申請できる
  • 軽微な工事・特殊電気工事は実務経験から除外——施行規則第2条の除外規定に注意
  • 申請先は居住地の都道府県知事——手数料・書式は自治体ごとに異なるため事前確認必須
  • 免状取得後は5年に1度の定期講習が必須——電気工事士法第4条の3

試験合格は免状取得への第一歩です。試験対策と並行して、実務経験のカウント方法や申請先の自治体情報を早めに把握しておくと、合格後の手続きがスムーズに進みます。試験対策の進め方は第一種電気工事士の独学合格ガイドで詳しく解説しています。

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