法令分野は資格クエストDBで77問(全体の5.9%)、1回の試験に3問しか出ない「最小分野」だ。しかし捨てると合格ライン30問のうち3点を失い、他分野の穴埋めが格段に厳しくなる。さらに電気工事士法・電気設備技術基準・電気用品安全法という3つの異なる法令を横断的に覚える必要があり、直前にまとめて詰め込もうとすると必ず時間切れになる。逆に言えば、3法令の役割分担を理解したうえで頻出数値を表にまとめておけば、法令3問は短時間で確実に得点できる分野でもある。
法令分野の出題構造——DB77問・3問/回の内訳
資格クエストが2015〜2024年の全26セッション・1,300問を集計した結果、分野別の出題分布は以下の通りです。法令分野(一般用電気工作物の保安に関する法令)は全体の5.9%・77問と最小分野ですが、毎回安定して3問出題される点は変わりません。
| 分野 | DB問題数 | 割合 | 1回あたり |
|---|---|---|---|
| 配線図 | 520問 | 40.0% | 20問 |
| 電気機器・配線器具・材料・工具 | 212問 | 16.3% | 約8問 |
| 電気に関する基礎理論 | 131問 | 10.1% | 5問 |
| 配電理論及び配線設計 | 130問 | 10.0% | 5問 |
| 電気工事の施工方法 | 129問 | 9.9% | 5問 |
| 一般用電気工作物の検査方法 | 101問 | 7.8% | 約4問 |
| 一般用電気工作物の保安に関する法令 ★本記事 | 77問 | 5.9% | 3問 |
出典:資格クエストDB(2015〜2024年の26セッション1,300問を集計)。2026年4月時点。
「3問しか出ない」の意味
合格ラインは50問中30問(60点)。法令3問を落とすと、残り47問から30問正解が必要になり、正答率63.8%を要求される。法令3問を確実に取れば、残り47問から27問(57.4%)でよい。この差は他分野の学習余裕に直結する。
覚えるべき3法令の役割分担
法令分野は「電気工事士法」「電気設備に関する技術基準を定める省令(電技)」「電気用品安全法」の3法令が出題の中心です。それぞれが異なる「問い」に答える法律であり、役割を先に理解しておくと暗記が格段に楽になります。
| 法令 | 答える問い | 試験での頻出テーマ |
|---|---|---|
| 電気工事士法 | 誰が工事できるか | 資格の種類と作業範囲、免状の交付・返納、軽微な工事 |
| 電気設備技術基準(電技) | どう施工するか | 接地抵抗値・絶縁抵抗値・電線の最小太さ・分岐回路の規定 |
| 電気用品安全法 | 何を使うか | 特定電気用品・非特定電気用品のPSEマーク、表示義務 |
一次ソース:電気工事士法(e-Gov法令検索)および一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験」(確認日: 2026年4月18日)
電気工事士法の重要ポイント
電気工事士法は「有資格者でなければ電気工事ができない」業務独占資格の根拠法です。試験では「どの資格でどの電気工作物を工事できるか」「電気工事士でなくても行える作業はどれか」という問われ方が頻出します。
電気工事士の種類と作業範囲
| 種別 | 作業できる電気工作物 | 備考 |
|---|---|---|
| 第二種電気工事士 | 一般用電気工作物(住宅・小規模店舗。受電電圧600V以下かつ最大電力50kW未満) | 本試験の対象 |
| 第一種電気工事士 | 一般用電気工作物 + 自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備) | 上位資格 |
| 認定電気工事従事者 | 自家用電気工作物のうち600V以下の低圧部分のみ | 限定的 |
電気工事士でなくても行える作業(軽微な工事)
以下の作業は資格なしで行えます。「電気工事士でなくても行える作業はどれか」という形式で出題されるため、このリストを丸ごと覚えておくと確実です。
- 電球の交換・照明器具の取り付け(配線に触れない作業)
- ヒューズの取り替え
- 配線用遮断器のスイッチ操作
- 小型変圧器(定格容量500VA以下)の二次側配線工事
- 電線管・ダクト・ボックス等の取り付け(電線を収めない作業)
- 電圧600V以下で使用する電気機器の接続(差し込みプラグによるものを除く)
免状の交付・携帯・返納
- 交付:都道府県知事が交付する
- 携帯義務:電気工事の作業中は免状を携帯しなければならない
- 返納命令:電気工事士法違反で罰金以上の刑に処せられた場合、都道府県知事は返納を命じることができる
電気設備技術基準の頻出数値
電気設備技術基準は「どう施工するか」を定めた省令で、数値の暗記が試験のカギです。接地工事・絶縁抵抗・分岐回路の3テーマが繰り返し出題されます。
接地工事の種別と接地抵抗値
接地工事(アース)は電気設備技術基準の中で最も出題頻度が高いテーマです。A〜D種の4種類と接地抵抗値を完全に暗記してください。
| 種類 | 接地抵抗値 | 主な適用箇所 |
|---|---|---|
| A種接地工事 | 10Ω以下 | 高圧・特別高圧機器の外箱 |
| B種接地工事 | 150/I(Ω)以下 | 変圧器の低圧側中性線 |
| C種接地工事 | 10Ω以下 | 300Vを超える低圧機器の外箱 漏電遮断器設置時は500Ω以下 |
| D種接地工事 | 100Ω以下 | 300V以下の低圧機器の外箱(一般家庭のエアコン等) 漏電遮断器設置時は500Ω以下 |
試験でよく出るポイント:「一般家庭のエアコン(200V)はD種」「D種の接地線は直径1.6mm以上の軟銅線」。A種とC種が同じ10Ω以下である点が引っかけになりやすい。
絶縁抵抗値の基準
| 電路の区分 | 絶縁抵抗値 |
|---|---|
| 対地電圧150V以下(単相2線式100V等) | 0.1MΩ以上 |
| 150Vを超え300V以下(単相3線式200V等) | 0.2MΩ以上 |
| 300Vを超えるもの | 0.4MΩ以上 |
絶縁抵抗の測定には絶縁抵抗計(メガー)を使います。測定は電源を切った状態(非充電状態)で行います。この「測定器の種類」と「測定条件」もセットで覚えておくと、検査方法分野との重複出題にも対応できます。
分岐回路の規定
| 分岐回路 | 過電流遮断器の定格 | 電線の太さ | コンセントの定格 |
|---|---|---|---|
| 15A分岐回路 | 15A以下 | 1.6mm以上 | 15A以下 |
| 20A分岐回路(配線用遮断器) | 20A | 1.6mm以上 | 20A以下 |
| 20A分岐回路(ヒューズ) | 20A | 2.0mm以上 | 20A以下 |
| 30A分岐回路 | 30A | 2.6mm以上 | 20A以上30A以下 |
「20A配線用遮断器は1.6mmでOK、20Aヒューズは2.0mm必要」という違いが引っかけで出やすい。
電気用品安全法——PSEマークの2種類
電気用品安全法は「何を使うか」を規制する法律です。試験ではPSEマークの種類と表示義務が頻出します。
| 区分 | PSEマークの形 | 対象品の例 |
|---|---|---|
| 特定電気用品 | 菱形(◇)PSEマーク 第三者機関による適合性検査が必要 | ケーブル・コード類、電気温水器、配線用遮断器 |
| 特定電気用品以外の電気用品 | 丸形(○)PSEマーク 製造業者自身による適合確認で足りる | 電気洗濯機、電子レンジ、蛍光灯器具 |
覚え方のポイント
「特定」電気用品は危険度が高いもの(ケーブル・ブレーカー等)で菱形マーク。「特定以外」は一般家電で丸形マーク。危険度の高いものほど厳しい検査(第三者機関)が必要、という理屈で覚えると混同しにくい。
電気用品安全法では、PSEマークのない電気用品を販売・陳列することが禁止されています。試験では「PSEマークのない電気用品を販売した場合どうなるか」という形でも出題されます。
一般用電気工作物の範囲——第二種が工事できる対象
電気工事士法の根底にある「一般用電気工作物」の定義は試験で繰り返し問われます。第二種電気工事士が工事できる対象であり、この範囲を外れると第一種が必要になります。
一般用電気工作物の条件(全て満たすこと)
- 電圧600V以下で受電する電気設備
- 構内の最大電力が50kW未満
- 同一構内に小出力発電設備しかない(または発電設備なし)
小出力発電設備の範囲(一般用電気工作物に含まれる)
- 太陽電池発電設備:出力50kW未満
- 風力発電設備:出力20kW未満
- 内燃力発電設備(ガスエンジン等):出力10kW未満
- 燃料電池発電設備:出力10kW未満
「最大電力50kW以上の需要設備」や「高圧(6600V)で受電する工場・ビル」は自家用電気工作物に分類され、第一種電気工事士または認定電気工事従事者の対象となります。第二種だけでは工事できない点は試験でよく問われます。
暗記のコツ——なぜルールがあるかを理解する
法令の数値を丸暗記しようとすると混乱します。「なぜそのルールがあるのか」という理由を先に理解すると、数値が自然に記憶に定着します。
接地工事——感電防止のため大地に逃がす
機器の外箱が漏電した際に、人が触れても電流が大地に流れるよう接地する。高圧機器(A種・C種)は危険度が高いので厳しい基準(10Ω以下)、低圧の一般機器(D種)は100Ω以下でよい。B種は変圧器中性点の固定用なので計算式(150/I)。
絶縁抵抗——電圧が高いほど絶縁もしっかり
電圧が高いほど漏電リスクが増すため、絶縁抵抗の基準値も高くなる。100V回路(対地電圧150V以下)は0.1MΩで十分だが、200V回路(150V超〜300V以下)は0.2MΩ、300V超は0.4MΩと2倍ずつ上がる。
PSEマーク——危険度による二段階規制
ケーブルや配線用遮断器は壁の中に埋め込まれ、不具合が起きると交換が難しく火災になりやすい。だから第三者機関のチェック(菱形マーク)が必要。一般家電は壊れても交換しやすいため、メーカー自主確認(丸形マーク)でよい。
頻出パターン3選——過去問から学ぶ出題形式
資格クエストDBの77問(法令分野)を分析すると、出題パターンは大きく3タイプに集約されます。それぞれのパターンと対策を把握しておくと、本番で選択肢の絞り込みが速くなります。
パターン1:「正しいもの/誤っているものはどれか」
4択の選択肢に法令の規定内容が書かれており、1つだけ正しい(または誤り)を選ぶ。最も多い形式。
対策:数値を正確に覚えることが最重要。「100Ω以下」を「10Ω以下」に書き換えるような変形がよく使われる。表を見て数値を即答できるレベルまで練習する。
パターン2:「〜が行える作業/行えない作業はどれか」
「第二種電気工事士が作業できる電気工作物はどれか」「電気工事士でなくても行える作業はどれか」など、作業範囲を問うパターン。
対策:資格の種類と作業範囲の対応表を表として覚えておく。「600V以下・50kW未満 = 一般用 = 第二種の範囲」というキーワードをセットで記憶する。
パターン3:「〜に付ける表示/マークはどれか」
電気用品安全法のPSEマークに関する出題。「特定電気用品に付けるマークはどれか」「菱形PSEマークが必要な電気用品はどれか」のような形で出る。
対策:「特定=菱形、特定以外=丸形」「ケーブル・ブレーカーは特定電気用品」を優先して覚える。
学習計画での位置付け——後回しにしない理由
法令3問は少ないが、多くの受験者が直前に詰まる分野です。3法令にまたがるため「どこまで覚えればよいかわからない」という状態になりやすく、学習開始から2ヶ月目以降に少しずつ並行して進めることが合格への近道です。
推奨する学習タイミング
- 1ヶ月目:3法令の役割分担を把握(各法令が「誰が・どう・何を」に対応すると理解するだけでOK)
- 2ヶ月目:接地工事・絶縁抵抗の数値を表でまとめ、1日10分の暗記タイムを設ける
- 3ヶ月目:過去問77問を繰り返し解き、誤答した問題に印をつけて集中補強
3ヶ月の詳細な学習ロードマップは第二種電気工事士 3ヶ月独学合格ロードマップで、試験全体の出題傾向と得点戦略は第二種電気工事士 完全攻略ガイドで解説しています。
まとめ
第二種電気工事士 法令分野(DB77問・5.9%・平均3問/回)の攻略ポイントをまとめます。
- 3法令の役割分担を先に理解——「誰が(電気工事士法)・どう(電技)・何を(電気用品安全法)」の対応を頭に入れると暗記が整理される
- 接地工事と絶縁抵抗は表で覚える——A〜D種の抵抗値と、対地電圧別の絶縁抵抗値は数値の正確さが問われる
- PSEマークは菱形(特定)と丸形(特定以外)の2種類——危険度の高いケーブル・ブレーカー類が特定電気用品
- 学習は2ヶ月目から1日10分で並行して進める——直前にまとめようとすると3法令の範囲に圧倒される
法令3問は決して捨て科目ではありません。配線図や計算問題と比べて純粋な暗記で完結できるため、時間対効果が高い分野です。理解を先に作り、過去問77問で数値を反復することで、確実に3問満点を狙えます。
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